1. 思考力とは何か
思考力とは、情報を分析し、自分の意見や結論を導き出す能力を指します。特に幼児期においては、遊びや日常の経験を通じて、この基礎的な能力が育まれます。思考力は単なる記憶力や知識の習得ではなく、未知の状況に適応し、自ら解決策を見つけるための基盤となる力です。
2. 幼児期における思考力の重要性
思考力は2~3歳から身についていきます。幼児期は、人間の脳が最も急速に発達する時期です。この時期に思考力を育むことは、以下のような長期的な影響をもたらします。
- 問題解決能力の向上 幼児期に思考力を培うことで、子どもは困難な状況に直面した際、自ら考え、答えを導き出す力を身につけます。これは学校生活や社会生活において非常に重要なスキルとなります。
- 創造性の発揮 自由な発想を支える基盤としての思考力は、将来的にクリエイティブなアイデアを生み出す原動力となります。
- 自己肯定感の向上 問題を解決したり、新しい視点を発見する経験を積むことで、子どもは自分に対する自信を育てます。
3. 思考力を育てる方法
では、具体的にどのようにして幼児期に思考力を育てればよいのでしょうか?
(1) 遊びを通じた学び
幼児にとって遊びは学びそのものです。遊びの中で試行錯誤し、成功や失敗を経験することで、自然と思考力が育まれます。
- ブロック遊び:構造物を組み立てることで、論理的思考や空間認識能力を鍛える。
- ごっこ遊び:想像力を働かせ、問題解決のプロセスを学ぶ。
- パズルや迷路:論理的な考え方や手順を追う力や、俯瞰的に物事を見る力を養う。
(2) 質問を通じて考えさせる
大人が一方的に答えを教えるのではなく、子ども自身が答えを見つけるための問いかけを行うことが重要です。
- なぜそう思うの?
- 他にはどんな方法があると思う?
- これをしたらどうなるかな?相手はどう感じるかな?
このようなオープンエンドな質問を投げかけることで、子どもは自分の頭で考える習慣を身につけます。そして、1つの質問から多くの情報を引き出すことができ、会話が生まれます。よく小学校の高学年の授業でディベートをしますが、このような会話を日々していると、ディベートで必要な「論理的思考力」「理解力」「分析力」「構成力」「伝達力」「多角的な視野を持つ」というちからも身に付きます。
(3) 日常生活の中でできること
日常生活は、思考力を育む絶好の場です。
- 買い物:お金の計算や商品の比較を通じて、論理的な思考を学ぶ。
- 自然観察:動植物を観察し、その特徴や変化について考える。
- 本の読み聞かせ:想像力を刺激し、ストーリーの展開やキャラクターの感情を考える。
このように箇条書きにすると難しそうに見えますが、とにかく会話をすることが大事です。
買い物の時、「お菓子を300円まで買おうね。どれだけのお菓子が買えるか、どんなお菓子を買うのか、自分で考えてみてね。」と伝える。
散歩をしながら自然観察をし、今の季節にはどんな花が咲いているのか、どんな虫がいるのかなどの話をする。
本を読み終えた後に、「このキャラクターはどうしてこんな行動をしたのかな?」などと問いかける。
(4) 成功と失敗の経験を大切にする
成功体験だけでなく、失敗も重要な学びの一部です。失敗を恐れず、挑戦を楽しむ環境を作ることで、思考力は一層伸びます。
例えば、子どもがブロックを倒してしまったとき、「どうすればもっと安定するかな?」と問いかけることで、問題解決の糸口を自ら見つけることができます。
4. おわりに
幼児期に思考力を育むことは、その後の学びや生活全般にわたる成功の土台を築くことに繋がります。遊びや日常生活の中で自然に思考力を鍛える工夫をし、失敗を恐れず挑戦する姿勢を育てることで、子どもたちは未来の可能性を最大限に広げることができます。
会話がまだできない年齢のお子さんにも、「まずはどちらかを選ぶ」ということをさせてあげてください。例えば今日着る洋服。親が決めて用意すると簡単です。でもそこで「どっちの色の靴下がいい?」とお子さんに選んでもらう。主導権を親ではなくお子さんにする。これが大事なことだと思います。
そして、他のお子さんとの関わりも大切に。たくさんの関わりを通じて、異なる視点や考え方に触れるチャンスです。
机上のお勉強だけではなく日常生活でできるお勉強は、今後のお子さまの人生にとってとても大切な時間となります。