タブレット学習が広がる中で感じる変化
今、学校でも塾でも家庭でも、子どもたちの学びの中心にはタブレットがあります。
大人が思う以上にデジタル化は速く進み、「気がつけば紙のノートよりタブレットのほうがよく開かれている」という子どもも珍しくありません。
家庭教師として毎週多くのご家庭に伺っていると、この変化を肌で感じるようになりました。
つい先日「スマホやタブレットでの子どもの遊び」について投稿したばかりではありますが、
今回は、タブレット学習の良い面と気になる面、そしてこの時代に子どもたちに必要だと感じている力についてお話ししたいと思います。
1. タブレットになって良かったこと
1-1. 学習の入り口が広がった
タブレットは、初めて学ぶ単元への“入りやすさ”という点で、大きな力を持っています。
・動画や図解で直感的に理解しやすい
・抽象的な単元が感覚的に入っていける
・自動採点ですぐ結果がわかるため、テンポよく学習が進む
小学生の算数では特にメリットが大きく、勉強が得意ではないお子さんも、視覚的から入ると理解しやすく、立体図形・割合・小数・分数など、紙だけでは理解しにくい単元でも、動く説明があったりして理解が早くなるケースが増えました。
1-2. 先生の負担が軽減された
学校では、連絡帳・お便り・採点・成績管理など、多くの業務がデジタル化されました。
その結果、
・子どもの様子を観察する時間が取りやすくなった
・学習データをもとに、一人ひとりに合った指導がしやすくなった
教科専科制を導入する学校も増え、「教材研究の時間が増えて授業の質が上げやすい」と話す先生もいらっしゃいます。
デジタル化が先生の働き方を変え、その変化が子どもたちへのサポートにつながっています。
2. タブレットになって気になること
2-1. 書く力の低下
家庭教師として最も気になっているのは、タブレット学習により「書く」時間が減っていることです。
・漢字の定着が弱くなる
・途中式を書く習慣が薄れ、思考の過程が見えにくくなる
・文章を書く体力が落ち、表現が単調になる
書くことは、単なる作業ではなく「思考の整理そのもの」です。
指先を使って書くことで頭が働き、自分の考えが形になっていきます。
その機会が減ると、理解が表面的になり、文章題や応用問題でつまずく子が増えてしまいます。
2-2. 人とのつながりの薄れ
連絡帳もお便りもタブレットで完結し、保護者の方からは「先生の字を見る機会がなくなった」という声も聞きます。
通知簿のコメントも手書きではなくなった学校が増え、どこか人の温度が薄れたように感じる瞬間があります。
もちろん、先生の負担を軽くすることは非常に重要です。
そのぶん別の形で子どもとの関わりを深められることもありますが、特に低学年では、細やかなやり取りが学習意欲を支えることも多く、大切にしたい部分だとも感じます。
3. タブレット時代でも変わらず大切にしたいこと
デジタルが当たり前になった今だからこそ、アナログの経験の価値がより高まっています。
・自分の手で文字を書く
・辞書や資料をめくって調べる
・人と直接話し、考えを伝える
・時間をかけて試行錯誤し、自分の答えをつくる
これらはどれもタブレットでは代わりきらない、大切な学びの力です。
特に「書いて考えを書いて整理する力」は、今後ますます求められる基礎力になりますし
人に伝えるという大切な能力も必要です。
大人になって働き始めると、コミュニケーション能力が大切になってきて、ただ頭がいいとか問題が解けるでは通用しなくなります。
4. まとめ
タブレットはとても便利で、学びの幅を広げてくれる素晴らしい道具です。
しかし、学びの中心にあるべきなのは「自分で考え、自分で表現する力」です。
色んな投稿でもお知らせしていますが、やはり何事もバランスが大事だと思いますし、
タブレットと紙、それぞれの良さを生かしながら、子どもたちの本来の力を丁寧に育てていきたい。
そんな思いで日々の指導に向き合っていきたいと思います。

