進路や受験、そして就職活動。
子どもが大きくなればなるほど、親の関わり方は難しくなっていきます。
小さい頃は、守ること、導くことがそのまま「親の役割」でした。
しかし成長とともに、親は少しずつ手を離していく必要があります。
それが分かっていても、不安が消えることはありません。
特に就職活動のように、親世代にとっても身近で現実的な場面では、
「何かしてあげた方がいいのでは」「口を出した方が失敗しないのでは」
そんな気持ちが強くなるのは、ごく自然なことだと思います。
子どもが成長し、進路や就職といった人生の大きな選択を迎えるとき、
親としての関わり方も、少しずつ変化していく必要があると感じています。
今回は、大学生・就活期という節目において、
親はどこまで関わり、どこから手を離すのか、
そして「子どもを信じる」ということの本当の意味について、
私自身の経験を交えながらお話しできればと思います。
ある保護者の方との会話から
先日、ある保護者の方から、就職活動について少し話を聞かせてほしいと声をかけていただき、ゆっくりとお話しする機会がありました。
その会話の中で、就職活動にまつわる準備や、親としてどのように関わっていたのかについて、さまざまな質問がありました。
その一つ一つは、どれも「わが子を思うからこそ」の内容でした。
そして同時に、親として不安になる気持ちも、とてもよく伝わってきました。
そのとき私は、就職活動のテクニックや具体的な対策よりも、
もっと大切なことがあるのではないかと感じていました。
「ヘリコプターペアレンツ」という言葉
最近、「ヘリコプターペアレンツ」という言葉を耳にすることがあります。
子どもの周囲をヘリコプターのように旋回し、
困りそうになる前に先回りして手を出してしまう親の姿を表した言葉だそうです。
この言葉だけを見ると、どこか批判的で、
「やってはいけない親」という印象を受けるかもしれません。
けれど私は、この言葉の裏側には、
それだけ子どもを大切に思っている親心があるとも感じました。
問題なのは、心配することそのものではなく、
「どこまで関わるか」「どこで手を離すか」の見極めなのだと思います。
子どもを信じるということ
私は、就職活動についての相談を受けながら、その方にこのように伝えました。
「あなたとご主人の子どもなんだから、きっと大丈夫」
これは、相手のご家庭に向けた言葉であると同時に、
自分自身にも向けている言葉です。
子どもを信じるということは、
決して何もしないことでも、逆に突き放すということでもありません。
それは同時に、
これまで悩みながら、迷いながらも、
大切に育ててきた自分自身の子育てを信じることなのだと思います。
「ここまで育ててきたのだから、きっと大丈夫」
そう思えることは、簡単なようで、とても難しいことです。
親ができる、たった一つのこと
就職活動は、子ども自身が社会と向き合う最初の大きな場面です。
思うように進まないこともあれば、
失敗や遠回りを経験することもあるかもしれません。
けれど、その経験こそが、
これから長く続く社会人生活の土台になっていきます。
親にできることは、
完璧な道を用意してあげることではなく、
「失敗しても、あなたの居場所はここにある」
そう伝え続けることなのではないでしょうか。
実際に私は大学受験や就職活動に口出ししませんでした。
(私が伝えられる助言などなかったというのが本音です。)
代わりに伝えていた言葉は「困ったことがあったり、何か聞いてほしいことがあればいつでも聞く態勢はできているよ」ということ。
実際に何か改まって相談されたことはなかったかな?
おわりに
ヘリコプターペアレンツという言葉に、
少しドキッとした方もいるかもしれません。
けれどそれは、
それだけ真剣に子どものことを考えている証拠でもあります。
子どもを信じること。
それは同時に、これまでの自分の選択や、
積み重ねてきた時間を信じることでもあります。
不安になったときこそ、
少しだけ視点を引いて、
「この子は、私たちの子どもなんだから大丈夫」
そう、自分自身に言ってあげられたら。
それだけで、親の立ち位置はきっと、少し楽になるのではないかと思います。
こんな偉そうなことを言いながら、まだまだ子離れできていない私もここにいます。
皆さんと同じ。だからこそ、一緒に考えていきたいなと日々感じています。

