体験をさせたままにしないということ~子どもの経験を「力」に変えるために親ができること~


「子どもには、できるだけたくさんの経験をさせてあげたい」

これは、多くの親御さんが自然に抱く思いだと思います。私自身も、家庭教師として多くのご家庭と関わる中で、この言葉を何度も耳にしてきました。

旅行、習い事、体験型イベント、留学、特別講座。
今の子どもたちは、私たちの子ども時代と比べものにならないほど、多くの「体験」に触れる機会があります。

こうした経験や子育てを振り返る中で、私が強く感じていることがあります。
それは、体験は「させること」そのものよりも、その後の関わり方によって意味が大きく変わるということです。

今回は、
子どもにさまざまな体験をさせることの大切さと同時に、
**「体験をさせたままにしないために、親ができる関わり」**について、
家庭教師として、そして母として感じてきたことをお話ししたいと思います。


目次

体験が多い=伸びる、ではない

一見すると、たくさんの体験をしている子は、視野が広く、成長も早いように見えます。

確かに、体験そのものが悪いわけではありません。むしろ、体験は子どもの世界を広げる大切な要素です。

けれども、

・次から次へと予定が詰め込まれている
・一つひとつを振り返る時間がない
・「どうだった?」と聞かれることもなく終わる

こうした状態が続くと、体験はただ流れていくだけの出来事になります。

中には、体験させてもらえていることが当たり前になっていしまい、自分がどれほど恵まれた経験をしているのかを理解しないまま大人になる子もいます。


大切なのは「体験のあと」

体験を、本当の意味で子どもの力に変えるのは、体験のあとにある時間です。

それは、発表させたり、レポートを書かせたりという難しいことをさせる必要はありません。

・帰り道に「今日はどうだった?」と聞く
・「何が一番楽しかった?」と尋ねる
・「思っていたのと違ったところはあった?」と投げかける

ほんの一言で十分です。

ここで大切なのは、

・正解を求めないこと
・評価しないこと
・親の価値観を押し付けないこと

こうしたやりとりを重ねることが
私が大切にしている「自分の考えを話す力」や「文章力」へと、少しずつ繋がっていきます。

自分の子どもたちと「昔〇〇をした時、〇〇だったよねー」など、昔を思い出すような話をしていると、
「その事自体にはそこまでの記憶はないけど、話をしていると蘇ってくるような感覚はあるなー」と言います。
多分、すっかり忘れているのではありません。ただ、親の方が大人だから。
そして、わが子の大切な経験だから、よく覚えているだけなのだと思います。
そうした振り返りの会話があるだけで、その体験は本当の意味で本人のものになっているように感じます。

なので、体験が終わった後の会話はその体験をしっかりと印象付けるためにもいいのではないでしょうか?


「考えさせる」のではなく「考えが生まれる場」をつくる

よく「子どもに考えさせることが大切」と言われます。

けれども実際には、
「どう思った?」
「そこから何を学んだの?」

と問い詰めるような関わり方になってしまうことも少なくありません。
これでは、子どもは“正解を探すモード”に入ってしまいます。

本当に大切なのは、考えさせることではなく、考えが自然に生まれる場をつくることです。

人は、向かい合って座って話をすると、無意識に緊張し、本音で話しができなくなるそうです。
車で移動しながら、習い事の帰りに手を繋いで歩きながら、そんな何気ない会話の中でぽつりと出てくる言葉。
そんな会話が、子どもの体験を「自分のものにしていく」のだと思います。
これは「ながら聞き」ではなく、子どもの緊張をほぐし、本音を聞き出すことに繋がります。



体験を「親の満足」で終わらせない

もう一つ、気をつけたいのは、体験が知らず知らずのうちに親の満足のためだけのものになってしまうことです。

「これだけやらせているのだから」
「これだけ経験しているのだから」

そう思いたくなる気持ちは、よく分かります。
けれども、体験の主役はあくまでも子どもです。

親ができるのは、場を用意することと、そのあとにそっと寄り添うことだけ。
体験の意味を決めるのは、親ではなく子ども本人です。


おわりに

子どもが成長し、やがて自分の人生を歩き始めるとき、

「自分で考え、自分で選んできた経験」が、その子を支える土台になります。

体験をさせることがゴールではありません。

体験を通して、
・何を感じたのか
・何を考えたのか
・自分はどうしたいと思ったのか

を、少しずつ積み重ねていくこと。
それが、将来、親が手を離すための準備にもなっていきます。

次の投稿では、子どもが大きくなったとき、親がどう「手を離していくのか」について、改めて考えてみたいと思います。

子どもに多くの体験をさせ、その振り返りを大切にしてきた先に、
親は次に何を求められるのでしょうか。

また来週、そんなことを一緒に考えていただけたらと思います。

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この記事を書いた人

ふみ先生
17年前までは普通の主婦として家庭を支えていましたが、子どもたちの成長を見守る中で、介護福祉士として数年働いた後、幼児・小学生向けの天才児育成に特化した塾で10年間講師を務めました。現在は個別の家庭学習指導を行い、3年ほどの経験があります。
私の教育に対する思いは、幼児期からの思考力や計算能力の育成が、その後の学業や受験に大きく影響すると信じていることです。特に、親子間の会話や日常生活での学びが重要であり、楽しく無理なく学ぶ環境を提供することを心がけています。
近年、働くお母さんが増え、子どもとの時間が取りにくくなっている現状を理解しており、そのような親御さんをサポートしたいと考えています。私自身も2人の子育てを経験しており、娘は公立外国語大学に進学し、息子は東京大学に進学しました。この経験を活かし、他の親御さんのお手伝いができればと願っています。
現在は「サニーサイド」の代表講師として活動し、子どもたちが楽しく学べる環境作りに力を入れています。私の経験と知識を活かして、多くの子どもたちとその家族に貢献できることを嬉しく思っています。

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